Storyteller
東京家政大学短期大学部 保育科(東京家政大学 児童学科兼務)教授
尾崎 司
東京家政大学短期大学部保育科教授。専門は保育、グローバル教育。東京都青少年センター社会参加部門主任(専門員)を経て、大学へ入職。近年では、地域共創学習の実践として、板橋区や湖池屋、無印良品などと共に、持続可能な社会づくりの教育活動や、絵本を活用したESDプログラムを行っている。
地域でのさまざまな活動をSDGsへ向かう教育につなげる
東京家政大学で保育を教えている尾崎先生は、絵本を使ったSDGsへのワークショップや授業を行っているそうです。絵本は、子どもでも読みやすいように短い物語の中にテーマ性があり、話を通じて心が動くことで題材について学ぶきっかけにもなります。そうした絵本によって作り出されるコミュニケーションは、物語への共感から描かれる問題を自分ごととして捉え、対話が生まれ、問題を理解することにつながります。
「絵本にまつわるコミュニケーションが多い場所が、『絵本のまち』だと考えています。板橋区には美術館や図書館などの施設が非常に充実していますので、『絵本のまち』としての次のステップは、これらを特別な場所から日常生活の場へと変えることだと思っています。地域におけるコミュニケーションのきっかけとして絵本の活用が進み、区がそれを後押しすることで、新しいつながりが広がるのではないでしょうか」
尾崎先生はこれまでも、無印良品での絵本読み聞かせイベントや、公園での多世代交流による子育て支援「おそとカフェ」、絵本作家との地球鈴づくりワークショップ、遊座大山商店街でのコミュニティレストラン「茶の間」など、学生と共に数多くの活動に取り組まれてきました。たとえば、地球鈴作りのワークショップでは、地球儀を模した風鈴を作ります。絵の具で色を着け、『地球に優しくなれるメッセージ』を短冊に書いて結び付ければ完成です。自分だけの地球鈴を作って、手のひらサイズの地球を真剣に見つめることで、世界中で起きている環境問題に少しでも想いをめぐらせてほしいそうです。
「教育は気づきだけに留まらず、実践まで導くことが大切です。これまでも地域での実践を心がけてきたのは、現場で何か行動を起こさないと理想論で終わってしまうと感じたからです。SDGsがよく取り上げられていますが、目標を達成する現実的なビジョンがなければ、見せかけだけのものになってしまいます。小さなことでもいいから実践する、この姿勢を大事にしています」
実体験を通した学びが重要と考える尾崎先生。SDGsはすべての世界の人に共通する普遍的な目標です。共通の目標だからこそ、地域や企業の皆さまは課題やニーズを共有しやすい側面もあります。尾崎先生も、良い考えを共有し、地域や企業と学生がお互いこれまでにないチャレンジをし、さらに皆で成長する、そんな広がりが理想だと強調されました。
私のちょこっとSDGs
私は教育に携わる者ですので、教育から持続可能な社会を作ることが一番大きな活動だと感じています。これまでに実践してきたさまざまな取り組みも、参加者の皆さまが持っていなかった視点に自身で気づいていただくもの。これからも伝え手としての役割を果たしていきたいです。