Storyteller
株式会社ヤマテ・サイン 代表取締役
安川 重理
板橋区出身。看板・装飾ディスプレイの設計から制作、施工までを手がける株式会社ヤマテ・サインで、長年営業として主に百貨店系の商材を扱い、8年前に代表取締役に就任。UV印刷機※1の導入、エシカル素材※2の使用など、環境に配慮した製作体制づくりに注力している。
※1 UV(紫外線)光の照射によりインクを硬化させる印刷方法。従来の印刷方法に対して、工程の中で有害物質を発生させないという特徴がある。
※2 段ボールや牛乳パック等の再生紙を利用した素材。
製造業者としての責任、地元企業としての連携
安川さんがSDGsの取組について本格的に意識し始めたのは4年前。それ以前から、環境への配慮に欠けるという理由で、主力産業であったシルクスクリーン印刷※3からの撤退を進めるなど、持続可能な事業展開を意識し、思い切った決断をしてきました。そうした中、高い生産性を確保しつつ、環境に配慮した製品づくりが可能なUV印刷機を導入したことがSDGsを推進する大きな契機に。以来、製品全体に占めるエコな製品を、より多く継続的に提供する生産体制の構築に、一層努められているそうです。
「2030年までには、印刷工程で排出される有害な化学物質(VOC)※4を40%削減するという目標を掲げています。全製品における、UV印刷機を用いて提供できるものの比率を上げていくことで、この目標を達成したいですね」
先日、板橋区立緑小学校の5年生向けに、ヤマテ・サイン本社・工場にてワークショップが開催されました。参加した小学生は、UV印刷機の見学や、自分の名前を入れたプレートの製作を体験。小学生向けの校外学習の展開は、会社としては初の試みでした。板橋区立緑小学校の市之瀬校長先生からの声がけをきっかけに、夏休みごろから教員の方々とのすり合わせを行い実現したそうです。
「創業以来60年間、板橋区で仕事をさせていただいている恩があり、長年何かしらの形で地域に貢献できないかと考えていました。そんな時に、市之瀬校長先生から声が掛かり、地元の子どもたちに、学校の外での学びを体験してもらおうと考えたのです。参加された小学生の皆さんには、何か『新たな気づき』を得てほしいという想いでした。また社員にとっても、地域との連携やコミュニケーションの大切さを意識する、よい経験になったと思います」
地元の一企業として、地域ぐるみでSDGs推進に取り組むことについて、安川さんは次のように語り、笑顔を見せてくれました。
「私が初めて緑小学校を訪問した際、SDGs教育の徹底ぶりに驚き、私たちも意識を高めて行動に移していく必要があると感じました。また、私たちのような地元の中小企業だからこそできる、ローカルなつながりを活かした取組の存在にも気づかされました。今回の私たちの活動に共感する企業が現れ、地域の中でつながり、輪を広げていければ嬉しいですね」
※3 看板・ディスプレイの従来的な印刷方法。印刷工程で有害物質が発生し、作業員の健康被害や、地球環境への悪影響が懸念される。
※4 VOC:揮発性有機化合物の通称。空気汚染や人体への影響が指摘されている物質。シルクスクリーン印刷の工程で発生する。
私の理想のいたばし!
環境に配慮したディスプレイで、環境に配慮したまちづくりを。そして、活動を通してSDGsでつながる、住みやすい板橋区になれば理想的です。
私のちょこっとSDGs
製造過程で出るゴミを、圧縮機で潰してから搬出しています。そうすることでそれまで以上にきちんと分別するようになりましたし、輸送回数が減るためCO2削減にもつながっています。