Storyteller
合同会社マム・スマイル 代表社員
坂東 愛子
大手企業でシステムエンジニアを経験。結婚後、育児支援コミュニティ「マム・スマイル」を設立し、会員数1,500名を超える組織へと成長させる。その後、企業主導型保育園「フォレスタ・志村三丁目」の開園や、育児キャリアアップ支援機構「WCPA」での活動を通じて、母親や保育士のキャリア支援に尽力。さらに2024年4月には「マム・スマイル」を母体としてNPO「マム・スマイル・ウィズ」を立ち上げ、支援対象を母親だけでなく父親にも広げて活動を展開している。
退職したママたちに必要なのは社会とのつながり
育児支援コミュニティとしてスタートしたマム・スマイルグループの取組は板橋区子育てタウン情報誌「イタバシーナ」の発刊から始まりました。そこには坂東代表のある想いが関係しています。
「私自身も結婚・出産を機に仕事を離れた経験があるのですが、社会とのつながりが失われてしまったという大きな孤独感を感じました。また、一度仕事の場を離れてしまうと、スキルや環境の面から復職が難しいという現実もありました。そこでママ同士が交流し、社会とのつながりを感じられる仕事のリハビリの場として、『マム・スマイル』を立ち上げ、『イタバシーナ』の発刊をはじめたのです。『イタバシーナ』は、区内のママたちが企画から取材、執筆、編集、デザイン、配布までの全工程を担っていて、これまでに関わったママは数百人にものぼります」
続いて坂東さんは、母親たちの社会復帰を助けたい、という想いから保育園「フォレスタ・志村三丁目」の運営を始めました。
「ママたちの社会復帰には、子どもを気兼ねなく預けられる環境が不可欠です。そこで、働きたいママたちが子どもを安心して自由に預けられる施設を自分で作ろうと考え、未経験ながら保育園の運営にも挑戦しました。特に最近のママ・パパは、普段の育児や仕事に加えて、進路など教育についても考える必要があり、負担が大きくなりがちです。だからこそ少しでも楽になってもらえるように、習い事に行かせるような感覚で利用できる保育園を目指しています」
その後、一般社団法人「育児キャリアアップ推進機構(WCPA)」の運営、「板橋経済新聞」の配信と、徐々に事業の幅が広がっていきました。ご自身が代表を務めている「WCPA」の活動の中では、母親への社会復帰研修や企業への育休研修に取り組んでいます。さらに全国の保育の質向上を目指す、保育士向けのリーダー研修も計画。2030年までに36,000名に対して実施することが目標です。他にも、母親や保育士の支援経験をもとに、若いころから将来設計を意識してもらえるよう、大学や高校でもキャリア教育の授業を行うなど、精力的に活動の場を広げています。
「私は元々専業主婦だったのですが、今では4つの団体をつなげて、働くママ・パパへの支援を行っています。『マム・スマイル』の名前には、子どもたちの笑顔のためには、ママやパパ、保育士さんなど周囲の大人の笑顔が必要だという想いが込められています。この想いを忘れずに、今後も新しいことにチャレンジしていきたいです」
私の理想のいたばし!
保育園では子どもたちに教育としてさまざまな「経験」をしてもらっていますし、「イタバシーナ」ではママたちにも「経験」を通じてスキルアップしてほしいと思っています。このようにすべての人がさまざまな「経験」をして、自分らしく生きられる区になってほしいです。
私のちょこっとSDGs
日ごろからジェンダー平等や教育について考えていますね。たくさんのママやスタッフの悩みごとに応えられるよう、日常的に情報を集めることを意識しています。何かをあきらめてしまうなんてことがないよう、熱く語って応援してしまうのが癖なんです。