Storyteller
三興塗料株式会社 代表取締役
清水 雄一郎
大学卒業後、塗料メーカー「日本ペイント株式会社」での勤務を経て、家業である塗料の卸売業を営む三興塗料へ就職。2015年より代表取締役を務める。塗料が生み出す価値を世の中に発信すべく、廃材※1を用いた塗装ボランティアを板橋区内で展開している。
※1 ここでは、製造年月日が古く処分予定の塗料を意味する。
塗装体験の提供を通じて発信する、塗料のもつ可能性
建物や自動車など、普段誰もが目にする物の着色に用いられている塗料ですが、その存在を意識しながら生活を送っている方は、意外に少ないのではないでしょうか。塗料のチカラを世の中に発信したいという想いから、清水さんは2014年以降、会社の創業の地であり、自身の地元でもある板橋区で、塗装ボランティアに取り組んでいます。
「10年ほど前、地元の小学生から『通学路の落書きが怖い」との声が上がり、志村警察署より落書き消しに協力いただけないかという相談がありました。そうして、塗料を提供し小学生らとともに落書き消しを行ったのが塗装ボランティアのはじまりです。街の人々や子どもたちが、塗装体験を通して塗料への理解を深めてくれればと思い、活動をはじめました。さらに、街の一部の塗装を自ら手がけた経験が、地域への愛着に繋がればという願いもあります。そのため、ボランティアの際には地元の皆さまに声をかけ、私たちと一緒に活動いただいています!」
三興塗料は、2023年より塗装ボランティアの一環として、地域の公園等のトイレ外壁の塗装事業を実施しています。
「公衆トイレには、汚い、怖いといった、負のイメージが世間に広まっていると思います。ところが、塗料のチカラを使って外見を綺麗にするだけで、明るく清潔な印象になり、人々が安心して立ち寄りやすい空間に生まれ変わります。こういった点で、トイレの塗装には非常にやりがいを感じますね」
2024年11月、老朽化が進んでいた、都立赤塚公園のバーベキュー場のトイレが、地元のアートスポットとして生まれ変わりました。高島平でアート教室の講師を務めるMieさんが無償でデザインを手がけ、清水さんや三興塗料の社員らと地域の子どもたちが塗装に参加しました。
「せっかく塗装するのであれば、地元の方々にとって記憶に残る体験を提供したい。そんな私たちの想いに、アート教室の先生が共感してくださり、今回の取組が実現しました。2カ月に及ぶ作業の間、地元住民の方々から『楽しみにしている』との声や、差し入れをいただくことも多く、皆さまから愛されている公園なのだと改めて実感しました。今回塗装を手がけたトイレが、赤塚公園とともに永く愛されるトイレになれば幸いです」
清水さんは、今後のボランティア活動についてこのように語ります。
「トイレの塗装にとどまらず、区民の皆さまに塗装を身近に感じてもらえる体験をこれからも提供したいです。塗料のチカラで、アートのあふれる板橋区に。そしてその取組を、全国にも発信していければと考えています!」
私の理想のいたばし!
区内全域のトイレのほか、道路なども塗装し、絵本のまち板橋らしく、街をアートで埋め尽くしたいです。
私のちょこっとSDGs
本社の前の道路が通学路になっていて、毎朝掃除をしています。過ごしやすいまちづくりに少しでも貢献できていれば嬉しいですね。